建設業許可の基準②:専任技術者

 建設業の許可を取得するには、営業所ごと専任技術者がいることが必要です。

専任技術者になるには

 専任技術者になれる資格は、一般建設業か特定建設業かで異なります。

 一般建設業の場合は、下記の何れかを満足することが必要です。
  (イ) 高校又は大学で指定学科を卒業した後、5年又は3年の実務経験を有すること。
  (ロ) 卒業した学科によらず、10年間の実務経験があること。
  (ハ) 国家資格等を有すること。
    (国家資格の種類によっては、一定期間の実務経験を要する場合があります)

 特定建設業の場合は、下記の何れかを満足することが必要です。
  (イ) 国家資格を有すること。… 特定建設業の専任技術者になれるものに限られます。
  (ロ) 一般建設業の資格に加え、2年以上の指導監督的実務経験を有すること。
    (土木、建築、電気、管、鋼構造物、ほ装、造園の7業種は除きます)
  (ハ) 国土交通大臣の認定を受けていること。

 以上に記載したように、国家資格等が無くても、実務経験により専任技術者となることが可能でが、
 この実務経験の期間は、複数の建設業について重複してカウントすることができません。
 例えば、2種類の建設業について、一人の技術者の10年間の実務経験のみで専任技術者になろうとする場合、
20年の期間が必要となります。

 しかし、建築工事業と大工工事業など関連の深い建設業の組合せである場合に、実務経験の期間が短縮できる
場合があります。

 どのような場合に短縮できるかについては、個別にお問い合わせください。

 尚、電気工事業及び消防施設工事業について建設業の許可を受けようとする場合、実務経験だけでは建設業の
許可を受けることはできません。
 実際に電気工事を行うには電気工事士の資格が、消防施設工事を行う場合は消防設備士の資格が必要なため、
国家資格がなければ実務経験を積むこともできないためです。

営業所ごとに設置すること

 専任技術者はすべての営業所ごとに設置する必要があります。
 この専任技術者は、営業所ごとにそれぞれ別の人物であることが必要で、同一人物が複数の営業所の専任技術者を
兼任することはできません。

 ただし、同一営業所内であれば、同一人物が複数の建設業の専任技術者を兼任することは可能です。

 また、経営業務の管理責任者を主たる営業所の専任技術者とすることも可能です。

営業所に常勤であること

 専任技術者は、営業所に常勤であることが必要です。
 そのため、基本的に建設工事の配置技術者になることはできません。

 建設業者は、請負工事の規模によらず、工事現場に技術者を配置しなければなりませんが、専任技術者は営業所に
常勤であることが求められるため工事現場の配置技術者となることが禁止されております。

 ただし、以下の要件をすべて満たす場合には、専任技術者の常勤性は確保されているとみなせるため、工事現場の
配置技術者となることが可能です。
  ① 専任技術者の所属する営業所で締結された建設工事であること。
  ② 建設現場が当該営業所の近隣にあること。
  ③ 建設現場と営業所間の連絡が常時とり得る体制が整っていること。
  ④ 当該建設工事が公共性のある重要な工事で、請負金額が3,500万円以上でないこと。
                       (建築一式工事の場合は7,000万円以上)