遺言書の基礎知識 - トラブルのない遺言のコツ④-公正証書遺言とする

 遺言書については、どのような内容を書くかが最も重要ですが、その保管場所をどうするかも同じくらい重要
です。

 遺言書の保管場所が厳重過ぎる場合、相続の際に発見されにくく、せっかく書いた遺言書が無駄になる危険性
が高くなります。

 銀行の貸金庫に遺言書を預けておられる方も多くおられると思いますが、銀行の貸金庫は相続の開始により凍
結されてしまい、相続手続を行うことに必要な遺言書が、相続手続きを行うまでは取り出せなかったという例も
ありますので、保管場所を厳重にしすぎることは禁物です。

 しかし、遺言書の保管場所があまりに緩い場合は、
   ● 遺言書を紛失する。
   ● 遺言書の内容が推定相続人に漏れる。
   ● 遺言書を改ざんされる。
という事態が起きやすくなり、作成された遺言書により却って家族間のトラブルの原因を作ってしまうことも起
こり得ます。

 そのため、遺言書の保管場所は、厳重過ぎず かつ 緩すぎない 場所であることが必要ですが、現実にはその
ような場所はほとんど存在しません。

 信頼のおける知人等に遺言書を保管してもらうことも考えられますが、その知人の方が先に亡くなってしまう
場合もあります。

 行政書士等の専門家の中には、遺言書の預かりサービスを行っている場合がありますが、その場合、遺言書を
預けた専門家に自分が死亡したことを通知する方法が必要となり、確実に通知することができなければ、遺言書
は、いつまで経っても発見されないことになってしまいます。

 このようなトラブルを回避するには、遺言を公正証書で作成することを勧めします。

 公正証書遺言は、その原本が公証役場に保管されるため、たとえ正本や謄本が紛失していたとしても遺言書そ
のものがなくなることがなく、相続開始後は相続人等の申請によりいつでも謄本を発行してもらえます。

 つまり、相続人に遺言書を公正証書で作成したことを伝えておけば、例え遺言書が発見できなくても、公証役
場に問い合わせをすれば、相続人は遺言書を手にすることが可能となります。

 また、公証役場に原本が保管されているため、遺言書の改ざんも確実に防止できます。

 更に、公正証書遺言の場合、他の方式の遺言に必要な検認の手続きが不要となります。

 検認の手続は、予め相続人を確定した上で申立を行いますが、実際に検認が行われるのは申立の1~2ヶ月後
となってしまい、その期間は、遺産に関する名義変更手続などを行うことができません。
 遺産中に金融機関の口座がある場合などは、被相続人と生計を共にしていた相続人は預貯金なしで生活しなけ
ればならない場合もあり、非常に負担が大きい手続と言えます。

 トラブルがなく、かつ相続人の負担が少しでも少なくできるよう、遺言書は公正証書で作成することをお勧め
します。


 以上、お疲れさまでした。 これでお終いです。

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