遺言書の基礎知識 - トラブルのない遺言のコツ①-遺言書の内容は具体的に書く

 遺言書が法的に有効であっても、それだけでは相続のトラブルはなくなりません。

 遺言書があってもトラブルが発生する原因の多くは、「遺言内容のあいまいさ」に原因があります。

 遺言書の内容があいまいであるため、遺言書だけではどの財産を誰が相続すればいいのかが確定されず、相続
人による遺産分割協議が行われ、最終的に協議がまとまらず相続争いに発展したというパターンです。

 このような状況を回避するには、遺言書の内容は可能な限り明確にしなければなりません。
 以下に、その注意点を列記します。

① 相続分の指定は行わない。
 「財産を公平に分けること」「財産の3分の1を…」などの割合で指定されても、どの財産をどのように分け
るのかが不明です。

② 相続人には「相続させる」相続人以外には「遺贈する」を明記する。
 「管理させる」「任せる」などとした場合、所有権を移転させるのか、ただ預けるだけなのかが不明です。
 「相続させる」「遺贈する」といった文言で、財産を取得させる意思を明確に示してください。

③ 財産の内容を明確に。
 「自宅の土地を」と書かれていても、法務局の人にはどの場所にあるどの土地をどの程度相続するのかが分か
りません。
 以下を参考に、財産の種類と数量を特定できるように記載してください。
  土地の場合 :所在・地番・地目・地籍・不動産番号など登記簿謄本記載の情報
  建物の場合 :所在地・家屋番号・建物の内容・床面積等・不動産番号など登記簿謄本記載の情報
         未登記の場合は、固定資産税評価額証明書の情報を記載する。
  預貯金の場合:金融機関名・支店名・口座の種類・口座番号等
  株式の場合 :会社名、株式数、公開株の場合は預託先の金融機関名も
  自動車の場合:車種・車台番号・登録ナンバーなど自動車検査証に記載の情報

④ 人の情報も明確に。
 相続の相手の名前を書かずに、妻や長男だけを記載した場合、その妻や長男が誰を示すのかが不明です。
 また、氏名を記載しても親戚や近所になどの中に同姓同名の者がいるかもしれません。
 人名だけでなく生年月日や住所を記載するなど、人の情報も正確に記載してください。

⑤ 剰余財産のないようにする。
 遺言にすべての財産を記載しようとしても、現実には描き切れるものではありません。
 実際には、所有権移転の手続きが必要なものや、比較的価値の高いものだけを記載することになります。
 その場合、余りの財産については、「その他の財産は○○がすべて取得する。」といった一文をつけておきま
しょう。


 次は、「トラブルのない遺言のコツ②-予備的遺言も書く」です。


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