相続の基礎知識 - 相続税のしくみ

 このページでは相続税の計算方法を紹介します。

 ただし、このページの内容は平成23年1月現在の計算方法です。
 平成23年に行われる予定の税制改革では、相続税の基礎控除額が縮小されるなど、いくつかの変更が行われる
予定ですので、このページの内容はあくまで参考としてお考えください。

手順1-相続税の対象となる財産の額は

 相続税は以下のような財産に課税されます。
  ① 被相続人が死亡時に有していた財産。
  ② 被相続人の死亡により相続人が取得する財産(死亡保険金や死亡退職金など)
  ③ 被相続人の死亡前3年間以内に行われた贈与
  ④ 相続時精算課税制度を利用して行われた贈与

 ただし以下の財産は、相続税の課税対象から控除されます。
  ⑤ 被相続人の葬儀に要した費用。
  ⑥ 被相続人の有していた借金等の消極財産の総額。
  ⑦ 相続税基礎控除の額
  ⑧ 死亡保険金及び死亡退職金に対する控除の額。
   (500万円×法定相続人の数)
  ⑨ 個人で経営時ていた一定の事業(寺社や幼稚園など)に供する財産の中で、一定の要件に該当するもの。
  ⑩ 相続により取得した財産のうち、相続税の申告までに国や地方公共団体、及び一定の法人などに
    寄付したもの。

 つまり、①~④を加えた額より、⑤~⑩を加えた額を差し引いた額が相続税の課税対象となる財産の額です。

 尚、死亡保険金や死亡退職金は相続対処の財産ではありませんが、相続税の算出においては相続財産として扱わ
れますので注意が必要です。

手順2-基礎控除の計算~課税対象財産額の算出

 相続税の基礎控除額は現在以下の式で算出されます。

  基礎控除の額 = 5,000万円 + 1,000万円 × 法定相続人数(人)
 例えば、被相続人に配偶者と2人の子供がいた場合、法定相続人の数は3人ですから基礎控除の額は
  基礎控除の額 = 5,000万円 + 1,000万円 × 3(人) =8,000万円
となります。

 ここで、手順1で求めた相続税の対象となる財産の額額から基礎控除の額を差し引いた額が課税対象の財産額
です。

 課税対象財産額が0以下であれば相続税は発生せず、相続税の申告も不要となります。

 先の例では、相続財産の総額が8,000万円以下であれば相続税は発生しませんが、8000万円を超えた場合は、
超えた分について相続税が発生します。

 例えば上記の例で1億2,000万円の遺産があった場合は、4,000万円について相続税が発生します。

 尚、法定相続人数については、以下の決まりがありますのでご注意ください。
  ① 相続放棄をした相続人がいた場合でも、その相続人を含めた人数とする。
     相続人の中に相続放棄をしたために相続人でなくなった者がいた場合でも、その相続人で
    なくなったものを含めた人数を相続人数とします。

  ② 相続人中に養子がいる場合は、養子について以下の制限までしか算入しない。
       ● 被相続人に実子がいる場合  1名まで。
       ● 被相続人に実子がいない場合 2名まで。
     ただし、以下のような養子の場合には、実施と同様に法定相続人の数に算入できる。
       ● 特別養子縁組により養子となった場合
       ● 配偶者の実の子(連れ子)を養子とした場合
       ● 配偶者の特別養子を養子とした場合

手順3-相続税の総額を算出する。

 手順2で求めた課税対象財産額が0以下にならなかった場合は、その課税対象財産額を一旦各相続人の法定
相続分に準じて仮配分します。
 その仮分配された額により、各相続人が納めるべき相続税額を算出し、これを合計することで納めるべき相
続税の総額を算出します。
 尚、相続税の税率と控除額は下表の通りです。

相続税の税率と控除額
各相続人の課税対象額 税率 控除額
~1,000万円以下 10% なし
1,000万円超~3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超~5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超~1億円以下 30% 700万円
1億円超~3億円以下 40% 1,700万円
3億円超~ 50% 4,700万円

 例えば、課税対象財産額が 4,000万円で、相続人が配偶者と2人の子供の計3人である場合であれば、配偶者には
2,000万円、2人の子供は各1,000万円ずつ課税対象額が分配されます。
 この時それぞれの相続人の納めるべき相続税額は以下のように計算できます。
   2人の子供はそれぞれ  1,000万円×10%       = 100万円、
   配偶者は       (2,000万円‐50万円) × 15% = 292万5,000円

 つまり、今回の相続では、総額492万5,000円の相続税が発生します。

手順4-相続税の総額を実際の相続額の割合で各相続人に分配する。

 手順3で求めた相続税の総額は、実際に各相続人が相続した財産の割合で各相続人に案分します。
 この案分した額がそれぞれの相続人の納める相続税額になります。

 先の例で、配偶者は財産を相続せず、2人の子供が財産を等分した場合、それぞれの子供が、納付すべき相続
税を2分の1ずつ納付するという形になります。

 ただし、各相続人の事情により、相続税は以下のように加算又は減免されます。

 ≪加算される場合≫
  ● 相続人以外のものが遺贈等により財産を取得する場合。
  ● 被相続人の孫等が被相続人の養子となった場合。
     これらの場合、相続税は20%加算されます。

 ≪減免される場合≫
  ● 相続人が配偶者である場合。
     相続財産の50% 又は 1億6,000万円の何れか高額な額までの相続には税金はかかりません。
  ● 相続人が未成年者である場合。
     6万円×20歳となるまでの年数 が税額より控除されます。
  ● 相続人が障害者である場合。
     6万円×70歳となるまでの年数 が税額より控除されます。
     特別障害者の場合は 12万円×70歳になるまでの年数です。
  ● 被相続人から贈与を受け贈与税を支払っていた場合。
     被相続人の死亡3年以内に行われた贈与や相続時精算課税制度の利用により行った贈与について
    贈与税を支払っている場合、既に納めた贈与税の額が相続税の額より控除されます。
     贈与税額の方が大きい場合は、差額が還付されます。
  ● 被相続人を相続人とする相続が10年以内に行われた場合
     はじめに行われた相続時に支払った相続税の一部が、今回の相続税より控除されます。
  ● 遺産の一部が外国にある財産の場合。
     財産の存在する国に対し、相続税に相当する税金を支払った場合は、その支払った税金の
    額が控除されます。

 以上、手順1~手順4により算出された額を相続税として納付します。
 控除額の大きい配偶者に遺産を集中させることで、相続税を節約することができますが、残された配偶者の
相続時に多額の相続税が発生しますので、バランスをとって配分を決める必要があります。




  次は、「準確定申告」です。

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